「思春期挫折症候群」で「自閉症スペクトラム症候群」の息子が人生の迷い道にはまりこんでいるようなので、じっくりと膝を寄せ合って、妻と息子と3人で話し合った。
息子は高校受験で慶応大学附属高校と早稲田大学の付属高校を合格し、早稲田のほうに進んだのだが、その高校をドロップアウトしてサポート校に行き、高校を出たあと多摩美術大学にいき、そこで劇団を立ち上げた。
息子は幼稚園に入る前から「場面寡黙症」で、人前では固まってしまい、ひと言も話すことができなかった。
それが大学生になったら、人前で演劇をするようになるなんて、夢想だに思わなかった。
その劇団がうまく行っていない(と言うより、息子がうまくいっていない)。
時々、息子は「何故、早稲田高校を辞めさせたの?もし、あのまま早稲田に行っていたら、一流大企業に入って成功していたのに。」と言う。
そして、早稲田をドロップアウトしたことを見返すために劇団や小説などで成功し、人から評価されることで、早稲田高校を辞めたことを後悔しなくなる、という論理で親に詰め寄ってくる。
でもって、今は「自分は何をしたいのか分からない」という。
親としては過去を引きずらずに、将来に目を向けるように言う。
そして、早稲田大学にいけずに多摩美大を出たことで、だからこそ、大企業に勤めなくても「幸せな」人生を生きられることを説明する。
とりあえず「シナリオ作家養成専門学校」に行くたいという希望を息子が持っているので、それを親としても勧めた。
それと、自分が本当にやりたいことで食べていける人は世の中にはそんなに多くなく、「とりあえず、どこかの会社に入って、現実と理想の妥協点で生きている人が圧倒的に多い」ことを言う。
こんなに人生のことを息子と妻と三人で話すことは初めてだ。
息子に人生について語り合うために、僕自身がまず、自分の人生を振り返った。
難しい息子だが、そんな息子を持ったからこその親の生き方をしている、というなんだか、自分勝手に良い方向に無理矢理解釈している日々が続いている(そうでもしないとやっていけないからね)。