1冊は帰省のために新幹線に乗る直前にキオスクで購入した『風の歌を聴け』(村上春樹)と、大学1年の夏休みに本屋をブラブラして見つけた『ライ麦畑でつかまえて』(サリンジャー著、野崎孝訳)だ。
この『ライ麦畑でつかまえて』は最初、とにかく読みにくくて途中で投げ出すことが多く、何度も挫折した。
どこが読みにくかったかというと、その文体だ。
『ライ麦畑でつかまえて』を購入して2年ぐらいして、僕が尊敬する人物(名前は忘れた^^;)が、人生を変えたのは『ライ麦畑でつかまえて』だ、という一文を読み、とにかく、腰を据えて読み始めた。
最初の3分の1ぐらいまでは、やっぱり、読みにくいなぁ、と思っていたのだけれど、3分の1を過ぎた頃から、その文体が妙に体に馴染んできた。
もちろん、物語や主人公に興味を持つようになったのも読み終える助けになった。
そして、初めて『ライ麦畑でつかまえて』を読み終えることができてから30年たって、今度は村上春樹の訳で読み始めた。
読み始めて感じたのは圧倒的に村上春樹の訳のほうが読みやすいということ。
でも、なんだか物足りない、というのが正直なところだ。
ストーリーは一緒だし、出てくる人物も一緒なんだけれど、心にひっかき傷をつけることがない。
多分、僕は生まれた初めて読んだ野崎孝の訳に感情移入しているのだろう。
ただ、物足りないとは言え、やっぱり、『ライ麦畑でつかまえて』は面白い。
もし、まだあなたが20歳代前半なら、絶対に読むべき本の1冊だ。
僕としては野崎孝のほうをまずはお勧めするけれどね。
もし、あなたが40歳代以上で、一度は野崎孝の訳の『ライ麦畑でつかまえて』を読んでいるなら、村上春樹の訳もお勧めする。
それはそれで味があるからだ。
●『ライ麦畑でつかまえて』(野崎孝訳)
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●『キャッチャー・イン・ザ・ライ』(村上春樹訳)
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